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キーボード内蔵携帯電話が登場する意味

itokoichi2005-10-30

WILLCOMW-ZERO3には、いろいろな魅力があります。日本における実質初めてのスマートフォンである、ということ以上にキーボードを内蔵していることが、私にとって、非常に嬉しい出来事です。今回は、W-ZERO3を通して「キーボード内蔵携帯電話が登場する意味」を考えてみたいと思います。(曖昧な記憶な部分もあり、時代が前後しているかもしれませんが、ご了承ください)
携帯にキーボードが欲しい、と私自身は熱望していました。しかし、携帯ユーザーが5000万人と言われている中、携帯テンキーによる日本語入力は、パソコンのキーボード以上にポピュラーな日本語入力手段になってしまい、携帯電話でのキーボードのニーズは、ないものと思っていました。そんなときのキーボード内蔵携帯の発表です。驚きました。スマートフォンが登場してもキーボード内蔵携帯は登場しないと思っていたからです。
日本の携帯市場でもキーボードが登場するチャンスはありました。一番大きなチャンスはポケットボードでした。携帯電話を通信モデムと割り切ったメール専用キーボード端末です。10円メールといった携帯専用メールを用意することで、いつでもどこでもキーボードでメール入力ができる、という流れが出来上がりました。
キーボード入力による簡易さも手伝い、それまでメジャーな存在だったポケベルを脅かすまでになってきました。このままポケットボードが進化していき、高機能なポケットボードとも言えるPDAの時代がくると思われました。そのタイミングでWindowsCEバイスの、カシオ、NEC、ビクター、富士通、hpなど次々とキーボード付き端末が登場したからです。10円メールではない、パソコンのインターネットメールが使え、さらにネットも見られるデバイスの登場でした。このまま高機能なネット端末として、キーボード付きPDAは進化していくものと思われました。
しかし、このキーボード付き端末の流れは断ち切られました。それが、iモードの登場です。iモードは通信モデムでしかなかった携帯電話を、通信デバイスに変貌させました。さらにポケベルで実現していたプッシュ型サービスも取り込みました。通信モデムでしかなかった携帯電話が、キーボードデバイスに逆襲をかけたのです。携帯電話ありきだったポケットボードはたまりません。あっという間に消えていきました。キーボードの簡易性よりも、メール機能を内蔵している携帯電話には、到底かなわなかったのです。そして同時に、プッシュ型サービスのポケベルさえも駆逐してしまいました。
携帯電話が高機能化していく中、キーボード付きPDAも苦戦を強いられます。WindowsCE陣営はPalmスタイルのPocketPCへとシフトしていきました。ペンデバイス入力端末がメインになっていきました。小型化する中で、PDAとしての生き残りをかけていきましたが、日本市場においては、PocketPCも、そしてPalmでさえも厳しい状況になってしまいました。キーボードデバイスどころか、PDAの存在自体も危うくなってきました。通信デバイスに進化した携帯電話が、怪物になってしまったためです。
一方、海外市場では、違う流れがありました。携帯電話は、あくまで電話機能がメインで、ポケベルのプッシュ型機能が進化していきました。やがて、ポケベルはキーボード付きデバイスとなっていき、携帯電話さえ飲み込み、ブラックベリーとして進化したのです。プッシュメールサービスにおいて、ポケベルがわざわざ携帯スタイルになる必要はありません。独自のキーボード付き筐体になって当然と思われます。その独自のキーボード筐体で電話機能も搭載してしまったのです。日本でも、もしかしたら、iモードがなければ、ポケットボードとポケベルが融合して、キーボード付き端末ブラックベリーの登場になったかもしれませんが、それは叶わぬ夢でした。
また、海外では、携帯電話自身が、コンテンツビジネスではない、ネットに対してフリーな進化を続けていき、スマートフォンとして、進化したのです。その進化の過程では、当然のように、携帯電話にキーボードが搭載されていきました。サービス内容ももちろんですが、ハード的なバリエーションの登場も必要だったためです。日本のように小型化やコンテンツサービスだけでは生き残れない、キャリア主導ではない、メーカー主導の携帯開発事情もあると思われます。
キーボード付き携帯端末が海外で進化していく中、日本の携帯電話ではキーボード内蔵端末の登場は絶望的と思っていました。その中で、突然登場したのが、WILLCOMW-ZERO3です。コンテンツビジネスではない、定額通信サービスとして台頭してきたWILLCOMならではの、サプライズ戦略です。5000万人いる日本の携帯ユーザーに向けて、キーボード付き携帯を提案するW-ZERO3は、ドンキホーテで終わってしまう危険性は大いにあります。ただ、一度、断ち切れてしまったキーボード端末を、日本市場に復活する夢を持つマシンでもあります。
W-ZERO3は、あまりに多くのユーザーがいる携帯市場で、苦戦が予想されるキーボード端末ではありますが、キーボードが搭載されている意味、また海外で支持され続けている意味が、少しでも日本市場に受け入れられる最初で最後のチャンスとも思われます。ぜひ、応援していきたいと思います。そして、第2、第3のキーボード内蔵携帯電話が登場することを望んでいます。