W-ZERO3がついに2005年12月14日に発売になりました。入手はなかなか困難な状況ではありましたが、とりあえず無事に発売されて、非常に嬉しいです。実機を手に入れたこともあり、応援コラムという形では今回が最終回とさせていただき、今後は実機レビューを書いていこうと思っています。
PDAが世の中に登場して10年以上になります。そして、携帯電話に通信機能が搭載された代表としてのiモードが登場して7年になります。PDAユーザーであり、携帯ユーザーであった私がこの10年近く感じていたことは、
「何故、PDAだけで電話や通信ができないのだろう?」
という一点だけでした。PDAで、通信カードや通信モデムを使い、ネットをやってみたり、電話機能をどうしても使いたくて、無線LAN経由でIPフォンに挑戦したりはしましたが、使い勝手という点では、どうしても一般ユーザーには薦められない位のものでしかありませんでした。「苦労して使う楽しみ」はユーザーには必要ありません。それを意識せず、「ツール」として使うことで、存在価値が出てくるのです。PDAを使っていて、いつも周りの人に薦めてはいました。ただ、それは、何か奥歯にモノの挟まったような言い方でした。
「とっても便利だよ。でもね・・・」
どうしても、マイナス面を出さずに薦めることに良心の呵責があり、自分が薦めているのか、思いとどまらせているのか、わからない事もしばしばでした。
「何故、PDAだけで電話や通信ができないのだろう?」
これができれば、私が躊躇していた部分の80%は解決してしまいます。買った瞬間に意識せず、ネットやメールができて、電話ができる。携帯電話ではあたり前の世界です。それがPDAでは10年以上、放置され、そして衰退してしまいました。
W-ZERO3は発売されました。私が最初にやったことは何でしょうか。PDAならば、通信カードの設定をしてネットをまず最初にすると思います。でも、W-ZERO3では違います。
「もしもし、聞える?」
電話をしました。道端で、歩きながら、自宅に電話をしました。用事もありませんでしたが、娘と会話をしました。今までPDAでは困難なことが、買った瞬間から出来てしまいました。普通に固定電話の電話番号を入れて、電話ができたのです。
さらに、ブラウザーを立ち上げると、ネットも繋がってしまいました。アクセスポイントの電話番号、ID、パスワード、DNSも必要ありません。ブラウザーを立ち上げるだけです。そして、メールを自動で受信しました。ネットに接続する手間なく、自動で受信をします。手動で電源を入れずに勝手に動作する、そんなことはPDAユーザーの私にはイメージができないものです。でも、ちゃんとメールを自動受信しています。
いつでもどこでも、電話ができて、通信ができる、そんな当たり前の環境に、やっとPDAの世界が辿りつきました。日本のPDAは、12月14日をもって、変わりました。「通信という自由の翼」を得て、自由になったんです。
道端で、娘との通話を終えた私は、W-ZERO3を握り締めながら、独りで感動してしました。冬の青空を飛んでいるような、そんな錯覚さえも感じてしまいました。
この自由の翼が、さらに大きく羽ばたくように、ユーザーとして出来ることがあるのであれば、応援していきたいと思っています。