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戦前の2/5cmレンズ

このハンデにも拘らず、しかしズマールは12万本を売った。ヘクトール2,5/5cmが1万本に満たなかったことを考えると、ただ単に明るかったがためだけとは思われない。実際空気界面による損失量を考慮すれば、ズマールの開放F値は2,8に近かったはずである。今日残るズマールの多くは、フロントエレメントの硝材が柔らかいせいもあって状態の悪いものばかりで、このため新品当時の性能を発揮し得ていない。このような個体の写りの悪さがズマールの評判を落としているのだが、それはベレクの思いもよらないことだったろう。コンディションの良い、あるいは後世再研磨コーティングされたズマールの写りは決してゾナーに劣るものではない。確かにシャープネスでは一歩を譲るとしても、画面全体に亘る穏やかで繊細な描写は他の何ものにも代え難いはずだ。ライツ──ベレクの選択は間違ってはいなかった。それはズミタールを経てズミクロン2/50において完全に証明される。