デジタル一眼レフを使っていると、レンズのイメージサークルを超えて撮ることはない。APS-C機のイメージセンサーは35mmフィルムより小さいし、中判レンズを付けようものならレンズ中央部分しか使わない。シネレンズの場合は、メーカーが品質保証できるイメージサークルどころか、周縁部の本来なら撮影に使わないエリアまで撮ることができる。むろんそれは、劣化領域が付加されるだけなのだが……。しかし最近は、ローファイな描写も味わいとして楽しむ風潮がある。ここがシネレンズのポイントだ。なにしろシネレンズは、アンジェニュー、ケルン、コダック、ツァイスなど、名レンズメーカーが名を連ねる。どれも時代を席巻したメーカーであり、中央部の描写は折り紙つき。つまり、G1にシネレンズを付けて撮ると、1枚の写真にハイファイとローファイが同居するわけだ。トリミングしておいしいところだけ切り出すのもよいが、丸ごと画として楽しんでみてもおもしろいだろう。