こんな記事がありました。
「VIERA」「Cyber-shot」「AQUOS」──NTTドコモが11月1日発表した「905i」「705i」シリーズには、デジタル家電でおなじみのブランド名を冠した機種が並ぶ。多機能化が一服する中、得意の家電分野で培ってきた有名ブランドを端末の差別化にも活用する動きが目立っている。
そもそも、携帯電話とは、「電話を持ち歩く」という発想から生まれた製品です。その携帯が、ネット端末化することにより、ただの電話から高機能化してきました。しかしながら、機能がてんこ盛りの現状の携帯電話の機能が、ユーザーにとって全て必要かと言えば、そうでもありません。ゲームをやりたければ、nintendoDSを持ち歩くし、音楽を聞きたければiPodを持ち歩くし、写真を撮りたければデジカメを持ち歩きます。専用機にしか楽しめないコンテンツや楽しさがあり、それは携帯電話に付加された機能程度では、敵わないものだと思われます。
高機能化がウリにならなくなった携帯電話の家電化が進んでいます。家電ブランドを携帯に載せることにより、より特化した専用機のように「見せかけている」携帯電話に変わりつつあります。言葉を換えれば、「電話を持ち歩く携帯」から、「家電を持ち歩くケータイ」に変わろうとしているかもしれません。逆の意味では、携帯がブランドになりきれていない、とも言えます。例えば「P905」という名前の、携帯電話以外の製品、テレビやゲーム機が出るとは到底思えません。結局は、携帯でしかないのです。ブランド化できなかった携帯電話の生き残り策は、「家電を持ち歩くケータイ」という施策に出てきたと思われます。
そんな携帯電話事情の中、スマートフォンの方向性はどうなるのでしょうか。Windows Mobileに限って言えば、PDAとして登場したWindows CEデバイスは、当時「PCコンパニオン」と呼ばれ、パソコンのデータを持ち歩くことのできるデバイス、というウリで市場に登場しました。1997年のことです。PDAブームがありながらも、ノートパソコンと携帯電話の市場拡大により、PDA市場は絶滅してしまいます。そして、Windows Mobileスマートフォンとして、2005年12月にW-ZERO3の発売を機に、復活の兆しを見せています。
携帯が家電化する中、Windows Mobileスマートフォンが「PC化」するのでしょうか。それは、きっとPDA市場がなくなってしまったときと同じ事態になってしまうだけです。パソコンのデータを扱いたいのであればノートパソコンには敵いません。また、Windows Mobileスマートフォンを家電化しても、さらに端末価格の高騰化と海外市場での競争力の低下になるだけで、あまりメリットも感じられません。
Windows Mobileの目指してもらいたい方向性としては、「家電化」でなく、情報発信端末としての可能性と思っています。単に、仲間同士でメールのやりとりや、一方的にホームページを見るのではなく、インターネットという広い世界へWindows Mobileでコンテンツを作り、そして、Windows Mobileで発信していく。その発信によって、新しいコミュニケーションが生まれる。そんな端末になることで、スマートフォンならではの存在価値が生まれてほしい、と感じています。
それはメーカーによる新しいプラットフォームの提供が必要なのか、それとも、ユーザーレベルで新しい使い方の発見が必要なのかはわかりませんが、スマートフォンが生き残るための一つの可能性ではないか、と思っています。そのきっかけでもいいので、何か見つけてみたい、と思いながら、スマートフォンを使う毎日です。